書物

アートブックフェア

先日、THE TOKYO ART BOOK FAIRというのに行ってきた。予算がないので何も買うまいと思っていたのに、写真と印刷が奇麗で前から欲しいと思っていた『CHAMBER of CURIOSITIES』(上田義彦、赤々舎)が少し安く出ていたので、我慢できず買ってしまった。サンプ…

嘉瑞工房twitterクイズ

絶滅寸前の活版印刷だけど、最近関連本の出版が続いている。そんななか、欧文の活版印刷で有名な嘉瑞工房の高岡昌生さんによる欧文書体「twitterクイズ」が始まった。 新装版『欧文活字』(高岡重蔵、烏有書林)についている栞(昌生氏が活版印刷)で使用し…

1Q84タワー

今日(5/28)、三省堂書店の神保町本店に行ったら、出入り口付近は村上春樹の新刊『1Q84』だらけだった。右を見ても左を見ても大量の平積み。既刊の単行本もずらっと並んでいるから、さながら大々的な村上春樹フェアといったところ。さすが凄い人気だな〜と…

「雰」が気になる

最近になって初めて『すべてがFになる』(森博嗣、講談社文庫)を読んだ。で、すっかりはまり、とりあえず犀川創平&西之園萌絵のS&Mシリーズ10冊はひと通り読み終えた。んなアホな、というような強引なトリックもあったけど、謎解きどうこうより森作品の雰…

宮澤賢治全集やっと完結か

『【新】校本 宮澤賢治全集』がこの3月でやっと完結するらしい。最初に定期予約した書店はつぶれ、別の書店に行ったらバイト君に「そんな本ありません」と言われ、3軒目の書店はちゃんと対応してくれたので予約票(賢治全集と安吾全集が仲良く並んでいる)は…

安吾を求めて

ブックストア談(文教堂)幕張店、ル・ミライ幕張(未来屋書店)、すばる書店ビビットスクエア南船橋店、TSUTAYA神谷町駅前店、ブックファースト城山ガーデン店、未来屋書店津田沼店、宮脇書店稲毛長沼原店。 たまたま立ち寄った店も含め、近所を中心にこん…

岩波文庫に安吾

とうとう坂口安吾が岩波文庫に入った。『堕落論・日本文化私観 他22篇』ということで、中身はエッセイや評論中心。全集未収録が2作品(「武者ぶるい論」「インチキ文学ボクメツ雑談」)あるとのことだし、記念に買っとこうかな。でも、残念ながら小説が入っ…

まっくら、奇妙にしずか

先週茶房高円寺書林で買った『まっくら、奇妙にしずか』(アイナール・トゥルコウスキィ/鈴木仁子訳、河出書房新社)という絵本を読んだ。たった1本のシャープペンシルで、400本の芯を消費して3年かけて描いたという細密画がとてもきれいだった。印刷・製版…

可読性ほぼ0%

これまでで最も読むのに苦労した本の一つが『探偵綺譚三騙』(倉田啓明、龜鳴屋)だった。 『稚兒殺し 倉田啓明譎作集』特装版の別冊で、この別冊のためにフンパツして特装版を買ったのだが、濃い赤色の紙に墨インキで印刷されているためコントラストが悪く…

木口木版

3年ほど前から探し続けていた本『木口木版伝来と余談』(馬渕録太郎、ギャラリー吾八)をやっと入手し一気に読んだ。著者の手になる木口木版画2葉入りの豪華私家版だ。最初、活字の「し」が左にズレているのがすごく気になったが、内容が面白いのでズレは次…

王道の「茶の本」

「王道の「僧侶」はいずこ?」、「王道の「僧侶」その後の展開」ときて、結局「茶の本」(岡倉覚三、岩波文庫)に変更してたんだけど、安吾忌の日も神田で何冊か「茶の本」を見つけて買った。現時点で14冊になった。 最新版(105刷)の奥付では、これまでに2…

引っ越し

7月中に引っ越すことになった。今日昼間に引っ越し屋さんが来て見積もっていったらしいのだが、荷物の6割は本で、ざっと段ボール60箱分と言われたそうだ。本が床にたまってくるとまとめて実家に送っていたし、本棚にはちゃんと収まっているから大した量には…

王道の「僧侶」その後の展開

昨年の3月に「王道の「僧侶」」を探そうと思い立ったのだが、結局見つかっていない。そこで方針を変更して『茶の本』(岡倉覚三、岩波文庫)を探すことにした。きっかけは今年の3月に弘南堂書店という古書店で買ったワイド版岩波文庫の『茶の本』(1991年発…

またもや桜の森

『【新釈】走れメロス 他四篇』(森見登美彦、祥伝社)という本を買った。「桜の森の満開の下」が入っていたからだ。

ぜいたくな本

先週、元印刷技術者のお宅に伺ったとき、その方が印刷責任者として51年前に関わった本を見せていただいた。あまりにぜいたくな本だったので我慢できず、帰宅後すぐに「古本屋さんの横断検索」を使って注文した。昭和31年の出版当時1500円もした本が2000円だ…

手製本とたい焼の魚拓

目黒区美術館区民ギャラリーで開かれていた東京製本倶楽部の展示会「本の国・本のかたち」を見にいった。一山いくらの市販本とは違い、1冊1冊丁寧に手製本された芸術的な書物がたくさん展示されていて、なんだか恐れ多いような雰囲気。本の開き具合を、中身…

活版印刷

先月の13日、和歌山に縁のある人々の集まりに呼んでいただいた。私の母校である新宮高校の大先輩が中心なんだけど、新高出身者に限定しているわけではなく、和歌山に多少なりとも関係のある人たちの集まりだった。 そのとき知り合った人の中に「詩人」の方が…

ダダ・シュルレアリスム ―変革の伝統と現代

『ダダ・シュルレアリスム―変革の伝統と現代 (1971年)』(トリスタン・ツァラ/浜田明訳、思潮社)。 Tristan Tzara: Le surr?alisme et l' apr?s-guerre, Ed. Nagel, 1947 の全訳。トリスタン・ツァラが、1946〜7年にソルボンヌ、ブカレスト、プラハで行っ…

蔵書票まつり

信愛書店の原田さんが始めたブックカフェ「茶房高円寺書林」で、7月に蔵書票まつりが開かれた。ちょっとだけ覗きに行くつもりが、参加者の皆さんが楽しそうだったのでついつい参加してしまった。講師は大貫伸樹さんと田中栞さん。私は“大貫画伯”の「けしゴム…

安吾関連グッズ

文豪Tシャツvol.2「坂口安吾」というものが発売されている。「世田谷文学館が文学専門のデザイン集団「ページ屋」とコラボレーションをして発行しているもの」とのこと。最初は安易な企画もののような気がして敬遠していたんだけど、安吾つながりではない知…

漱石に変更するかな

王道の『僧侶』を探しはじめて早5週間。見つからない。寄せ集めのアンソロジーとかならあるんだけど、どれもキツキツの二段組ばっかりだ。できれば新本で、ゆったり贅沢に組んだオフの『僧侶』はこの世に存在しないのだろうか。そういえば、“時代を超えコン…

王道の「僧侶」はいずこ?

『食うものは食われる夜』(蜂飼耳、思潮社)と『孔雀の羽の目がみてる』(蜂飼耳、白水社)を読み終えた。前者は詩集、後者はエッセイ集だった。詩人の書いた文章ってやっぱりいい。とっくに使い古されたはずの言葉が新鮮に感じられる。そんな言葉に出会う…

不覚

先日、久しぶりに千駄木の往来堂書店に立ち寄った。ここに寄ると、他のお店で何度も見かけた本であっても、つい衝動買いしてしまう。今回も3冊、『ひとりという幸福』(坂口三千代、メタローグ)、『食うものは食われる夜』(蜂飼耳、思潮社)、『孔雀の羽の…

ぶどう酒びんのふしぎな旅

飯田橋にある印刷博物館に「アンデルセン生誕200年展」を見にいった。国内外で19世紀から現在までに出版されたアンデルセンの本がたくさん展示されていた。解説文によると、作品に挿絵を入れることはアンデルセンの本意ではなかったそうだが、ついつい華やか…

『ペルソナ』普及版

『PERSONA』(鬼海弘雄、草思社)の普及版が出ていた。『PERSONA』は、鬼海氏が30年以上の時間をかけて浅草で撮り続けた人物写真の作品集で、初めて書店で見たときには、レンズをまっすぐに見つめる人々の存在感に圧倒され、思いきり揺さぶられた。2年前に出…

またまた透かし入りの本

製本・装丁マニアの大貫伸樹さんの事務所で昭和初期の白水社の本を見せてもらった。ポオル・ヴァレリイ『ヴァリエテ』(中島健蔵、佐藤正彰訳)というフランス装の本。白い表紙の中央に赤いインキでタイトルが印刷され、平の縁に近い部分には枠が空押しされ…

六本木書店事情

青山ブックセンターが潰れてしまった。ちょっとこれは、駸々堂以来のショックかも知れない。これはABC向きだ!と思っていた新刊本、申し込みがなかったので、おかしいな〜とは思っていたんだけど。 ABCの、とくに六本木店や青山店のような特色のあるお店は、…

妖怪豆本

またあざとい商法に乗ってしまった。京極夏彦の『姑獲鳥の夏』上製版(ただしあじろ綴じ)。妖怪豆本全員プレゼントとはたまりませんな。それに小口に絵柄を印刷するなど凝った装丁になっているし。しかしこの小口装飾はどうやって印刷したんだろう。タコ印…

MSレイド

『海辺のカフカ』に続き、透かし入りの本文用紙MSレイドを使った本がまた出た。マーク・Z・ダニエレブスキーの『紙葉の家』(ソニー・マガジンズ)。同じ紙は『小林秀雄全集』や『葬送』(両方新潮社刊)でも使われていたけど、やはり『海辺のカフカ』の影響…

目からウロコ

出版不況と呼ばれて久しい。若者が本を読まなくなったといわれているが、インターネットや携帯電話を使ったeメールなど、若者を中心とした文字情報でチマタは溢れかえっている。街中でも電車の中でもみんなが携帯電話を通じて文字のやりとりに夢中になってい…