MSレイド

 『海辺のカフカ』に続き、透かし入りの本文用紙MSレイドを使った本がまた出た。マーク・Z・ダニエレブスキーの『紙葉の家』(ソニー・マガジンズ)。同じ紙は『小林秀雄全集』や『葬送』(両方新潮社刊)でも使われていたけど、やはり『海辺のカフカ』の影響が大だろう。本が売れると紙までメジャーになるのかと少し感心した。
 『紙葉の家』自体もまた面白い造りの本だ。ジャケットはマット調で表題部分や部屋の間取り図の部分だけニス引きという粋なデザイン。本文はいかにもDTPって感じの、とても活版ではまねのできないような組版。そのうえ「家」や「HOUSE」という単語の部分だけが特色(他は墨)で印刷されているという贅沢さ。巻末にはほとんど無意味な索引も完備している。これで4600円、高いのか安いのか、う〜ん、微妙なところだ。
紙葉の家