2008-01-01から1年間の記事一覧

全部いい

もっと戦争をしゃぶってやればよかったな。もっとへとへとになるまで戦争にからみついてやればよかったな。血へどを吐いて、くたばってもよかったんだ。もっと、しゃぶって、からみついて──すると、もう、戦争は、可愛いい小さな肢体になっていた。 やっぱ安…

安吾を求めて

ブックストア談(文教堂)幕張店、ル・ミライ幕張(未来屋書店)、すばる書店ビビットスクエア南船橋店、TSUTAYA神谷町駅前店、ブックファースト城山ガーデン店、未来屋書店津田沼店、宮脇書店稲毛長沼原店。 たまたま立ち寄った店も含め、近所を中心にこん…

岩波文庫に安吾

とうとう坂口安吾が岩波文庫に入った。『堕落論・日本文化私観 他22篇』ということで、中身はエッセイや評論中心。全集未収録が2作品(「武者ぶるい論」「インチキ文学ボクメツ雑談」)あるとのことだし、記念に買っとこうかな。でも、残念ながら小説が入っ…

まっくら、奇妙にしずか

先週茶房高円寺書林で買った『まっくら、奇妙にしずか』(アイナール・トゥルコウスキィ/鈴木仁子訳、河出書房新社)という絵本を読んだ。たった1本のシャープペンシルで、400本の芯を消費して3年かけて描いたという細密画がとてもきれいだった。印刷・製版…

誰にも読まれなかった本

『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(都築響一、晶文社)という本を読んだあと、つづけて『人の読まない本を読む』(山下武、本の友社)という本も読んでみた。で、思ったのは、今までに誰にも読まれなかった本というのはあるんだろう…

おめでとう!山本昌200勝!

200勝を祈願し、山本昌フィギュアを神棚に飾ってからはや2ヶ月。とうとうその日がやってきた。 山本昌選手、おめでとう!おめでとう!おめでとう! 昌さんが初勝利をあげた年、私はちょうど名古屋で浪人していた。私と同い年ながら新人王を取るほどの活躍を…

可読性ほぼ0%

これまでで最も読むのに苦労した本の一つが『探偵綺譚三騙』(倉田啓明、龜鳴屋)だった。 『稚兒殺し 倉田啓明譎作集』特装版の別冊で、この別冊のためにフンパツして特装版を買ったのだが、濃い赤色の紙に墨インキで印刷されているためコントラストが悪く…

ブログ通信簿

ブログ通信簿というものをやってみた。結果は以下の通り。 私はブログ年齢15歳で「一般生徒タイプ」、今後は漫画原作者を目指せ、とのこと。いっちょ目指してみるか。

河童伝承大事典と八咫烏

東京国際ブックフェアに行ってきた。でもあんまり時間がなかったのでざっと回っただけ。買ったのも『河童伝承大事典』(和田寛、岩田書院)というどでかい本1冊のみ。A4判上製で780ページもある。高い本なので2割引はありがたい。私の田舎、和歌山の話がいっ…

ケータイ小説をケータイで読んでみた

ケータイ小説はもういいか、と思っていたんだけど、試しにケータイを使って『恋空』を読んでみたところ(といっても、ほんの30ページほどだが)、紙本ではあんなに違和感があった文章も、ケータイではけっこうすんなりと読めることに驚いた。ちょうど下から…

ケータイ小説の設計図を読むことは旅をすること

『ケータイ小説は文学か』(石原千秋、ちくまプリマー新書)という本を読んでみた。実話テイストのケータイ小説に「リアリティー」はないが、「リアル」はある。本物ではないフィクションにリアリティー(本物らしさ・現実らしさ)を感じさせることが「作者…

『恋空』をじっくり読む7 ラスト

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 いよいよ「最終章 恋空 koizora」。 さて、年が明け、成人式を終えた美嘉は着物を着たままヒロの待…

『恋空』をじっくり読む6

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 「六章 恋旅 koitabi」。 大学に入って初めてのクリスマス・イブ。美嘉は優と同棲中。二人でイチャ…

『恋空』をじっくり読む5

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 さて、いよいよ下巻に入る。上巻だけで読むのを止めようかと思ったが、続けろとリクエストがあった…

『恋空』をじっくり読む4

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 都が京から東の方へ移され久しく忘れていた戦で血なまぐさくなった頃京の西陣で、桓武天皇の頃から…

『恋空』をじっくり読む3

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 さて、1章の続きから。 ヒロの元カノの執拗な嫌がらせメールが続くなか、美嘉の妊娠がわかる。美嘉…

『恋空』をじっくり読む2

※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。 さて、「一章 恋来 koirai」を読む。章扉、横組なのに漢数字なのが気になる。ページをめくると柱も…

『恋空』をじっくり読む1

岩本素白を読みながら、やっぱり日本語っていいなぁ、日本人に生まれてよかった、などと大げさなことを感じていた。で、次に読む本、明治から昭和初期ぐらいまでの日本語を探そうと書店に行って真っ先に目に留まったのが『恋空 〜切ナイ恋物語〜』(美嘉、ス…

至福の時

平日の真つ昼間、喫茶店で珈琲を飲みながら岩本素白「山居俗情」を味はふ。外は雨。至福。

山本昌フィギュア

ちょっと気の早い話だが、山本昌200勝を記念(祈願?)して山本昌フィギュアを買った。顔からなにからそっくりだ。唇がピンクなのがちょっと気持ち悪い。背番号はもちろん34番。34番といえばむちゃくちゃ球が速かった頃の小松辰雄が思い浮かぶ。山本昌も球は…

本の目利き

ワケあって3月半ばから急にヒマになったので龜鳴屋本を続けて読んだ。伊藤人譽氏の『馬込の家 室生犀星断章』『續人譽幻談 水の底』。選び抜かれた言葉、無駄のない的確な比喩など、素晴らしい日本語に何度もシビレた。擬古文調の『稚兒殺し 倉田啓明譎作集…

木口木版

3年ほど前から探し続けていた本『木口木版伝来と余談』(馬渕録太郎、ギャラリー吾八)をやっと入手し一気に読んだ。著者の手になる木口木版画2葉入りの豪華私家版だ。最初、活字の「し」が左にズレているのがすごく気になったが、内容が面白いのでズレは次…

王道の「茶の本」

「王道の「僧侶」はいずこ?」、「王道の「僧侶」その後の展開」ときて、結局「茶の本」(岡倉覚三、岩波文庫)に変更してたんだけど、安吾忌の日も神田で何冊か「茶の本」を見つけて買った。現時点で14冊になった。 最新版(105刷)の奥付では、これまでに2…

安吾忌2008

今年も安吾忌に行ってきた。会場は神田の如水会館(安吾忌の詳細については坂口安吾デジタルミュージアムかさいとうさんのブログで)。 今年の安吾忌はなんといっても風博士の杉山拓氏の演奏。数年前に本館の方のリンク許諾願い等でメールをやりとりしたこと…

今日はお燈祭

今日はお燈祭の日だ。お燈祭(おとうまつり)は和歌山の新宮市で開かれる祭りで、1メートルぐらいの大きい松明に火を点けて山を駆け下りる、という至ってシンプルな祭りだ(詳細は旅志貫徹《お燈祭が近づいた、ヤアヤアヤア》をどうぞ)。私は新宮に高校3年…

エレファントカシマシ20周年

さっきミュージックなんとかというテレビ番組にエレカシが出ていた。今年はデビュー20周年とあった。とてもこんなに続くバンドだとは思ってなかった。 たしか私が生まれて初めて買ったCDがエレカシのセカンドだ。それまではすべてレコードかミュージックテー…

仕事の品格

安吾忌も近いことだし、という訳ではないのだが、こないだジュンク堂書店池袋本店で見つけた『安吾碑を彫る』(丸山一、考古堂書店)という本を読み始めた。著者の丸山氏は元新潟放送の方で、寄居浜にある坂口安吾の石碑「ふるさとは語ることなし」の元にな…