2003-01-01から1年間の記事一覧

聖なる春

うらわ美術館でやっていた「ウィーンの夢と憧れ─世紀末のグラフィック・アート」展を見にいった。ウィーン分離派の機関雑誌だったVER SACRUM(ヴェル・サクルム)の実物が飾ってあり少し興奮。「世界で最も美しい雑誌」と呼ぶ人もいるくらい美しくかつ贅沢な…

妖怪豆本

またあざとい商法に乗ってしまった。京極夏彦の『姑獲鳥の夏』上製版(ただしあじろ綴じ)。妖怪豆本全員プレゼントとはたまりませんな。それに小口に絵柄を印刷するなど凝った装丁になっているし。しかしこの小口装飾はどうやって印刷したんだろう。タコ印…

MSレイド

『海辺のカフカ』に続き、透かし入りの本文用紙MSレイドを使った本がまた出た。マーク・Z・ダニエレブスキーの『紙葉の家』(ソニー・マガジンズ)。同じ紙は『小林秀雄全集』や『葬送』(両方新潮社刊)でも使われていたけど、やはり『海辺のカフカ』の影響…

ブッシュの顔

アメリカがイラク侵攻を開始してから10日が経った。TV画面を通じ、得意げに演説するブッシュの顔を見ていて、私は、坂口安吾が、親友だった太宰治の死について書いたエッセイの一節を思い出した。学問を知らない、限度を知らない子供の顔。でもそれは、決し…

死霊

埴谷雄高著『死霊』。とにかくもう凄い作品です。 その名状しがたい幅の怖ろしさをまざまざとお前の眼前に思い浮べるためには、いいかな、思いのほかに詩人らしい閃きもあるお前がまさにこれまで持っていた胸のなかのがらくたの一切を投げ捨てその純一無垢の…