またまた透かし入りの本

 製本・装丁マニアの大貫伸樹さんの事務所で昭和初期の白水社の本を見せてもらった。ポオル・ヴァレリイ『ヴァリエテ』(中島健蔵、佐藤正彰訳)というフランス装の本。白い表紙の中央に赤いインキでタイトルが印刷され、平の縁に近い部分には枠が空押しされているという、なんともシンプルで品のいい装丁だった。
 中をぱらぱらめくっていると、本文用紙にうっすらと模様のようなものが見えたので光に透かすと、「MAKE〜」だか「MADE〜」だか詳細は忘れたが、アルファベットの透かしが入っていた。そこで大貫さんの蔵書の中から、『ヴァリエテ』と同時代の白水社の本をとっかえひっかえ光に透かして調べてみたところ、桜の花の透かしが入っているものも見つかった。花の中央には2文字のアルファベット(たしかSとH)があり、そばにローマ字で「IKARI」とかなんとか、これまた記憶があいまいなんだけど、たしかに日本語が漉き込まれていたので、日本製の紙であることがわかった。こんな所にまで神経を使って本を作っていたのだな〜と二人して感心頻り。
 戦前の白水社の本、集めてみようかな。