可読性ほぼ0%

 これまでで最も読むのに苦労した本の一つが『探偵綺譚三騙』(倉田啓明、龜鳴屋)だった。

 『稚兒殺し 倉田啓明譎作集』特装版の別冊で、この別冊のためにフンパツして特装版を買ったのだが、濃い赤色の紙に墨インキで印刷されているためコントラストが悪く(そのうえ画数の多い旧字旧かな)、ちょっと照明が暗いと読めたもんではなかった。これはちょっとやり過ぎだよ〜と。でも、活版印刷ということもあり、まだなんとか読むことはできた。
 で今週、たまたま立ち寄った高円寺の都丸書店という古本屋さんで買ったのがこれ。

 真っ黒な紙に真っ黒なインキ。実は右ページにも左ページと同じように文字が印刷されているのだが、この写真ではほとんど見えない。照明が明るく、かつ光の角度をその都度調整しないと読むことができないのだ。いくら活版でも、これでは可読性ほぼ0%である(可読性の単位がパーセントでいいのかどうかは不明)。やっぱり本は読まれてなんぼだと思うので、文字組や文字そのものをいじくりたおした雑誌やオブジェ本なんかは元々好きではないのだが、これはもうレイアウトとか以前の問題だ。でも、明るい蛍光灯の下だと文字が光っていい感じで読めそうだったから、これはギリギリ許容範囲かな、と思って買ってしまった。1500円と思ったより安かったし。
 これは『地球創造説』(瀧口修造、書肆山田)という本で、帯には「現代詩叢書3 書肆山田版」とある。現代詩叢書の1と2がどうなっているのか、気になる。