誰にも読まれなかった本

 『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(都築響一晶文社)という本を読んだあと、つづけて『人の読まない本を読む』(山下武、本の友社)という本も読んでみた。で、思ったのは、今までに誰にも読まれなかった本というのはあるんだろうか?ということ。
 自費出版とかではなくて、商業出版としてある程度の部数が発行されたのに、著者と編集者を除き誰にも読まれることなく消えてしまった本。多分ないだろうな。どんなにマイナーなジャンルでも、それに興味を持つ奇特な人間は必ずいる。百科事典なんかを通して読む人はまずいないだろうけど、1ページも読まれないってことはないだろうし、それぞれの購入者が読んだ部分を延べでみると、なんやかんやでほとんどのページに目は通されているのではないだろうか。
 それに、国会図書館に納本された本なら、書誌データを入力する担当者が奥付ぐらいは見るだろう。でも、中身の半分以上読まれた本となると可能性が出てくるかも。
 今まで誰にも読まれなかった本。もしあったら、読んでみたい。

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 人の読まない本を読む―赤耀館読書漫録