『恋空』をじっくり読む3

 ※かなりストーリーについて触れるので、これから『恋空』を読もうと思っている人は、下の文章は読まない方がいいです(最初は→『恋空』をじっくり読む1)。
 
 さて、1章の続きから。
 ヒロの元カノの執拗な嫌がらせメールが続くなか、美嘉の妊娠がわかる。美嘉は産みたいといいヒロは高校をやめて働くという。ヒロの両親は渋々だが反対はしない。美嘉の父は反対。説得のためヒロは髪を黒く染め直しシルバーピアスもとる。
 それからしばらくして、美嘉はヒロに成り済ました咲に体育館の裏に呼び出され、レイプされたときの写真を見せられる。やはりフィルムは入ってた。そりゃそうでしょ。美香は咲に突き飛ばされてシリモチをつく。ヒロが現れて美嘉を助け、咲に「てめぇ写真のネガはどうした?」「…家にある」「それ焼けよ? バラまいたらどうなるかわかってんだろ」「…わかった」で咲はとぼとぼと帰っていく。なんとも詰めが甘いような気もするが、それは私が疑り深い性格だからか。
 なかなか出産の許しがもらえない美嘉とヒロは、とうとう駆け落ちを決心する。その行き先は、

 「ノゾムんち行ってOKだって! どうする?」
 ノゾムの家って…近っ!!
 心の中で鋭い突っ込みを入れる美嘉。

 お笑いブームの影響がこんなところに。翌日、クリスマス・イブの日に駆け落ち実行。ノゾムの家にいくと、ノゾムの彼女のアヤも待ち構えていた。近所のスーパーでクリスマスケーキや夕飯、シャンパンやワインを買ってきて4人で酒盛り。妊娠中の美嘉だけジュース。お互いのクリスマス・プレゼントの他に、ヒロは赤ちゃんのために黄色い毛糸の手袋を用意していた。朝方、寝ていた美嘉にそっとキスをするノゾム。美嘉は寝たふり。昼過ぎに4人とも目覚める。おなかが痛くて病院に行く美嘉。結果は流産だった。近所の公園の花壇をお墓に決め、毎年ここに来ようと約束する。ここで1章終わり。

 
 さて、「二章 恋涙 koirui」。
 みんな揃って高校2年になる。クリスマスの日にノゾムが美嘉にキスしたことがばれ、怒ったヒロだったが誤解はすぐに解ける。しかし翌日からヒロは学校に来ず、シンナー漬けになっていた。でヒロから《イママデアリガトウ》のメールが来て、ひと悶着のあと最後のデートをして二人は別れることになる。

 ヒロが突然変わった理由を知ったのは、
 別れの本当の理由を知ったのは、何年も先の話…。

 何年も先の話…。不治の病とか実は血が繋がってたなんてオチじゃあるまいな。しかしこの調子であと数年分も続くのか。頼むからすぐに教えてくれ。読むのキツクなってきた。まだ上巻の半分を過ぎたばかりだというのに。でも長編小説って、前半はむちゃくちゃ詰まらなかったのに後半になって突然物語が動きだして俄然面白くなることがあるから油断できない。物語がスパークする瞬間とでもいうか、だからその瞬間を信じて、頑張って読み続けることにしよう。あともう少しだけ、あの電信柱まで。昔こんなCMがあったな。
 別れた翌日にヒロにはサリナという彼女ができるが12日で別れる。そのころ、PHSの時代が終わり携帯電話に。そうか、ここまではまだデジカメやカメラ付ケータイが流行る前の話だったのか。ヒロとの別れを境に美嘉は変わり始め、アヤと二人でナンパ待ち、クラブやパーティー三昧の毎日。で、学園祭ではクラスのミヤビという子と一緒にバンド演奏。美嘉、アヤ、ミヤビの3人で仲良くなったと思ったら、ミヤビとヒロが付き合い出す。でもうヤマトだとかイズミだとかシンタロウだとか、新しい仲間が続々出てきて修学旅行に行って帰って関西弁の大学生が出てきて「名前は優、19やで! スーツ着とるけど今日大学の授業があったから仕方なく着とるだけやから! ホストと勘違いしないでな?」“授業”でスーツ着なあかん大学て…どこや!!と心の中で鋭い突っ込みを入れる私。しかしここで無理に妙な関西弁を使わせる必要があるんだろうか。気色悪い。が、美嘉は優といい感じになる。はいここで2章終わり。
 事件が起きては4〜5ページで解決していく。登場人物の対応はほとんど条件反射だ。右へ左へパッパとさばいていく感じ。高校生ってこんなに単純だったっけ? まあ私の高校時代も似たようなもんだったかも。

恋空〈上〉―切ナイ恋物語