ザ・スミス

 突然ザ・スミスが聞きたくなり、さっきから「ランク」を聞いている。何年ぶりだろう。やたら懐かしい。でも、やっぱりスミスはいい。
 THE SMITHSというバンドをちゃんと聞き始めたのは、「ミート・イズ・マーダー」からだったかな。たしか「クイーン・イズ・デッド」は新譜を予約したっけ。ハードロック、ヘビーメタル全盛時代、ポップなメロディとマーの澄んだギター、そしてモリッシーのひねくれた歌詞との組み合わせがたまらなく魅力的だった。
 一番好きだった曲はレゲエ調の「ラバー・リング」(「心に茨をもつ少年」のB面に入っていた。「ランク」でもイントロとサビだけ演奏されている。そのイントロから「ホワット・シー・セッド」へと突入していく辺りが最高にかっこいい)。一番繰り返し聞いたアルバムは「ハットフル・オブ・ホロウ」だと思う。次が「クイーン・イズ・デッド」かな。さっきも「ハットフル・オブ・ホロウ」が聞きたくなったんだけど、レコードプレーヤーの上に色々とモノが積み上がっているので、仕方なく唯一CDで持ってる「ランク」を聞くことにしたのだ。
 書店で出たばかりのロッキングオンを手にとり、ザ・スミスの解散を知ったときのことを、今でもはっきり覚えている。高3の下校時だ。自分の心の中の、大きな部分を占めていた何かが、すうっと消えていったのがわかった。「ああ、終わったな」と思ったのだが、何か終わったのかはよくはわからなかった。もうスミスのように、全身全霊をかけて聴き入るようなバンドには、二度と出会えないんだろうな、と思ったことを覚えている。その後は、エレカシのセカンドと「東京の空」、椎名林檎の「無罪モラトリアム」ぐらいかな、リアルタイムで何度も繰り返し聞いたアルバムは。スミスの抜けた穴に、ちょうどエレカシが入ってきたって感じだった。でもやっぱり私の中では、ザ・スミスは、というか、マーは別格だ。
 「ランク」と同じクイーン・イズ・デッド・ツアーの時の海賊版が聞きたくなってきた。ジョニー・マーが冗談でジミヘンの曲をやっているやつだ。我慢ができなくなったので、プレーヤーの上を片付けることにしよう。

Rank Hatful of Hollow ザ・クイーン・イズ・デッド