続・安吾圭吾安吾圭吾

 9月に「東野圭吾を読みはじめたら止まらなくなった」と書いたが、2ヵ月経った今も継続中。今年に入ってからの読書メモを見てみると、2005年1月から11月末までに読了した本がちょうど70冊。そのうちなんと32冊が東野圭吾さんの本だった。このままでは今年読んだ本の過半数が圭吾本になってしまう!とちょっと焦り、今日から別の著者の本を読むことにした。
 と言うわけで読みはじめたのが去年出た『仮往生伝試文』の新装新版(古井由吉河出書房新社)。函入りで布装の表紙に空押しが施されていた初版(1989)は、装丁があまりに美しかったのでページを開く勇気が出ず、ずっと文庫本が出るのを待っていたんだけど、結局待ちきれずに新装版を買ってしまったのだ。装丁はどちらも菊地信義さんだが、新装版は函も空押しもない普通の上製本になっている。ただ、本文自体は全く同じようだ。15年間もちゃんとフィルムを保管していたんだなあと少し感心。
 内容は、まだ読みはじめたばかりでなんとも言えないが、臨終の前に突然馬具を被って踊りだしたお坊さんなど、ちょっと変わった人物の往生際を紹介していく話らしい。随筆として読んでいるうちにするりと創作の世界に入っていたりという、自由気ままな文体はとても心地よいのだけれど、部分的に(多分引用部分)字体を変えていたりするのが気になって、まだ50ページ位しか読んでないのに3回も最初から読み直してしまった。登場する人物(変人たち!)が魅力的なだけに、早く先を読みたいのはやまやまなんだが、なかなか前に進めないのが辛い。年内に読了できるだろうか?
仮往生伝試文(新装版)